マイコプラズマの流行について

咳の風邪がすごく流行していますが、それとは別にマイコプラズマもポツポツと出ています。
マスコミなどはすごくあおっていますし、園の先生が知識なく適当なことをおっしゃっているのもお聞きします。あだち小児科クリニックかかりつけの方は、正しい知識を身につけ、不安にならないようにしてください。

マイコプラズマは、だいたい4年ごとに流行するのでオリンピック肺炎とも呼ばれます。前回の東京オリンピックの時にみんなマスクをしていてほとんど流行しなかったので、今年2回分流行しています。それをマスコミは「過去最大」などとあおっています。
マイコプラズマ肺炎は、「歩く肺炎」と呼ばれ、比較的軽い人が多いのが特徴です。咳が出ているのに頑張って働いている大人が感染源になることも多いです。
マイコプラズマ症状として、子どもではまず熱が続きます。熱がない人も検査をすることがありますが、陽性はわずかです。あと咳がひどいのが特徴です。昼間も咳をずーっとしています。

診断は、当院ではPCR検査を行っています。抗原検査という10分で出る検査もありますが、偽陰性(本当はマイコプラズマだけど検査は陰性)や偽陽性(マイコプラズマじゃないけど検査は陽性)のどちらも多い検査なので、信頼ができません。このため、当院ではPCR検査を行っています、

マイコプラズマは、コロナや他の風邪のようにどんどん広がることはありません。非常に弱い菌で感染率も低いですし、かかってから発症まで2-3週間かかるからです。学校や園ではやっていると言われても患者さんは一人か二人くらいのことが多いです。学校保健安全法でも、マイコプラズマは一番下の「状況により出席停止も考える」レベルです。なぜか結果が出るまで休まなくてはいけない保育園もあるようですが、そのようなことは不要です。
もちろん熱があったり夜眠れないほど咳がひどい間はどんな風邪でも自宅で安静にするのが大事ですので、それは守ってください。


インフルエンザが流行しています

どこの医院も同じですが、インフルエンザの検査キットが手に入りにくくなっています。
本当に必要な方に検査ができなくなると困りますので、不要な検査をできるだけ減らしたいと思います。

・同居家族がインフルエンザと診断され、数日中に熱が出た方
・学校などでインフルが流行しており、高熱で明らかにインフルエンザと診断できるとき
は、検査をしないで、診断することがあります。(臨床診断と言います)。
(2000年より前は検査キットは世にありませんでしたので、症状で診断していました)

また
・念のため検査を受けたい
・園から検査を指示された(症状はあまりない)
・発熱から数時間しかたっていない
場合は、検査できないことがありますのでご了承ください。

インフルの検査は発熱後12時間くらいで陽性になる率が8割くらいになりますが、短いと偽陰性といって、検査で出ないことがよくあります。
ご協力よろしくお願いいたします。

2023年夏 感染症の流行について

いろいろな感染症が流行っています。保護者は落ち着いた対応をされていると感じますが、保育園側がパニック状態なのかおかしくなっているようです。久々の投稿ですが、もし園に届けばよいかと思い、書いてみます。

今年は3月ころからずっと風邪の流行が持続しています。春はもともと咳と熱の風邪、夏には高熱を主症状とする夏風邪、秋は少し落ち着き、冬はRSウイルスやインフルなど流行するのが、日本の四季に合った風邪の特長でした。
しかし、ここ数年、日本人全体、そして子供たちも頑張ってマスクなどの感染対策をやってきました。このため、ここ3年ほど強い風邪があまり流行りませんでした。流行する時期も変化しました。
ここへきて、感染対策が緩められ、社会が動き始めました。風邪は人と人の接触で移っていきます。ここ数年はやらなかった風邪が一気に流行している。これが今の状況です。しかし、人間が正常に活動を始めたのであって、仕方ないことです。
咳と熱が出る春の風邪がまだ流行しており、そこに、ヘルパンギーナをはじめとする夏風邪の流行が加わっています。そしてようやくインフルが落ち着いてきたらコロナが少しぶり返してきているようです。

①新型コロナ(Covid-19)
もうエンデミックと呼ばれる感染症の最終状態に入っています。もはや、コロナの人を見つけ出して全員隔離するということはできません。見つけて5日休ませたところで、それを過ぎてからもうつす力はあり、全員見つけることにはそれほど意味がなくなっています。当院も怪しい人は検査をしますが、以前のように、熱がある人全員に検査をしているわけではありません。なのに、会社や学校や保育園によっては、2年前のような過剰な反応や応対をされるところがあります。もうそろそろ新しい時代に踏み出しませんか? 熱のない人に検査を強いたりすることはやめましょう。

②ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは夏風邪の代表でのどの奥に口内炎ができる風邪を総称してヘルパンギーナと呼びます。いろいろなヘルパンギーナがあります。今はやっているのは2-3日で解熱しますし、食事もそこそこ食べられる軽いものです。見た目の診断なので、診断が容易なのと、定点といって大きな病院がカウントすることになっているので、数字が出てニュースになりやすいです。夏風邪と同じ対応で、しっかり解熱し、食事が取れれば登園できます、
園や学校が出席停止にすることもできますので、ひどく流行るようならそうされてもよいと思います。根本的には毎年夏にはやる風邪ですので、患者さんが一人二人出たからと言って反応する必要はありません。

③ヒトメタニューモウイルス、RSウイルスなど
ヒトメタニューモウイルスは、春の風邪の代表、RSは冬の風邪の代表です。こどもだけじゃなく、大人も引いています。上記と同じ理由でずっと流行っています。
ヒトメタは、5年ほど前から保険での検査基準が緩まり、風邪のお子さんに検査してもよいことになりました。それまでは、ずっと単なる風邪として扱われてきました。ですので、急にヒトメタだけを区別することには無理があります。当院でも症状のひどい子には検査しますが、全員しているわけではありません。軽症なのにヒトメタがでたから区別する、というのはやりすぎと思います。検査していないお子さんもいっぱいいます。
RSは保険の検査基準が厳しいままで、1歳以上には検査ができません。しかし、医院によっては制度が違い検査できる場合もあります、RSも、ヒトメタと同じで、基本的には風邪の中に含まれます。乳児を中心に、ひどくなる人もいるので、そういう場合は検査が必要です。ですので、RSにかかっているけど、検査していない子はたくさんいます。検査して陽性に出た人だけ隔離するのは意味がありません。

長く書きましたが、パニックになっている園は、落ち着いて対応を整理してください。

ちなみにアデノウイルスに関しても、福知山の園は対応間違いがあり、アデノウイルスのうち出席停止になるのは、咽頭結膜熱(プール熱)と流行性角結膜炎(はやり目)だけです。その他のアデノウイルスは、単なる風邪になります。それなのに、アデノウイルスが出たら出席停止にするという間違いは修正していきませんか?
検査していない人もたくさんいますよ。